キラーワールド

第十三章 Thirteenth Kill

 ぽた、ぽた、と水滴が落ちる音が、頭に響いていた。


この気持ちは何だろう?
動かない唇で、何か言おうとしてみたけれど、やはり何も言えない。


 隣で、友人が寝息を立てている。

「・・・」

 私は静かに辺りを見回す。
倒れた机や、椅子。ばらばらに引き裂かれたファイルや書類が、その部屋には散乱している。


「・・・・」


 もう真夜中。
エレア達は、何故かいなくなってしまった。
分かっているんだ。きっと、大変な事に巻き込まれている。

「・・・」

けれど、私に何ができるんだろう?
私にできる事なんて、夏樹の隣にいる事くらい。



「・・・・、な、つ、き・・・・」

 ゆっくりと彼女の名前を呼んでみる。
起きる気配は、ない。


「・・・・」

不安、不安、不安。

 私は、紅い髪の友達の事を思い出す。
あの日、私の両親を殺した、紅い友達。

「・・・・る、き」

 呼んでみるけど、彼はこない。

「・・・・」

虚しい。

 ゆっくりもう一度辺りを見回す。
何も、変わりは無い。


「・・・・」





いつまでこんな事、続くんだろう。

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