BASARA

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↓はちょっとした慶次×半兵衛SS(初めての出会い)

大阪下町、一人の大柄な男が小さな子猿を連れて歩いていた

下町なのに人の気配はあまりなく、大柄な男―――前田慶次は肩を落とした

「以前の秀吉ならこんな事にはならなかっただろうな…」

悲しく浮かぶは旧友の顔…慶次は頭をフルフルと振ると、高くそびえ建つ大阪城を見た

「今度来た時は会いに行ってやるよ」

と、その時だ…いきなりの強風が桜並木を大きく揺さ振る

「おっと」

「わっ!!」

ゴオオオと唸りをあげる桜吹雪の中、二人は出会った

「…綺麗な顔…」

「…え?」

慶次はマジマジと青年の顔を見た後、ふと相手の表情を見た

「どうしたんだいお兄さん?淋し気な顔して、さては好きな人にイジメられたとか?…こう言っちゃなんだけど、笑ってた方があんたに似合ってると思うな」

そう言われ、青年は顔を赤らめ差し出された手を振りほどいた

「っ!!…初対面の君に言われる筋合いはないが…一体君は誰なんだい?」

青年は慶次を見つめ、慶次は青年を見つめた

「俺は前田慶次、あんたは?」

ニカッと笑い相手に話すと、相手も多少ムスッとしながら口を開けた

「助けてもらった御礼に教えてあげるよ、僕は竹中半兵衛だ」


そう言って青年―――竹中半兵衛は城の方へ足を向けて歩きだした

「へぇ、あんた城の人間かい?細い体してなかなかやるねぇ」

慶次は笑うと、共に肩に乗る子猿も「キキっ」とないた

「何とでも言うと良い…用事が無いなら行かせてもらうよ、僕も暇じゃないんでね」

ボソリと呟く半兵衛に、慶次は片手をフリフリと二度振り

「いやいや俺も帰る所だったし、止めちゃったみたいで悪いね、まあ何かの縁で次会ったら城の話し聞かせてくれよ、俺の友達が大阪城に居るからさ」

半兵衛は首を傾げると、分からないと言うように瞳を伏せ、また歩き始めた

「覚えておいてあげるよ…じゃあね、慶次くん」

そして青年、竹中半兵衛の姿は遠くへ消えて行った

「竹中半兵衛か…綺麗な人だったな、夢吉…また会えるかな」

何故か脳裏に焼き付いてしまった顔立ちと声…

慶次はニッと笑うと、グーと背を伸ばしクルリと体を逆に向けた

「さて帰るか、勝手に家出て来たからまつ姉ちゃん怒ってるだろうな…」

そう考えたら体がブルリとなった

「さて帰るか!!」

晴天の空のもと…慶次は再び歩みだした、そう…暖かい家路へと


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